「小説家の卵としてどう歩んでいく?」じぶん作家養成教室【参考書紹介編5】
おはようございます。紫月です。
今日は、これまでに紹介した小説の書き方の本以外で、今までに一読した本を紹介して、実際に小説第1作目をどんな方向性で書き、小説家への道を歩んでいていこうか、について話そうと思います。
これまで、4回にわたり、私が小説の書き方の参考書としようと決めた本を紹介してきました。これまで紹介した本は、小説を書こうと決意した後、ここ数日で読んだものです。実際に初めて小説を書く人に、手取り足取り具体的な方法を教えてくれる技術的な本で、教科書と呼べる本だと思います。
ですが、これらの教科書を読む前に、小説の書き方や小説家の生活がわかる本をいくつか読んでいましたので、書名と得られたものを簡単に紹介します。
そして、これらの参考書の内容を振り返りながら、自分の第1作目の書く方法を考えていきたいと思います。
本の紹介に移る前に、なぜ今回紹介する本は、前回までの記事に比べて簡単な紹介になるのかについて話しておきます。それは、読後から時間が経っていて、読書メモも取っていなかったので、詳しく語ることが難しかったからです。
詳しく語れないのに、なぜ紹介するのか。それは、私が第1作を書こうと考えた根底には、これらの本から培ったベースがある、ということを示したかったからです。
5月初旬に『東大読書』(西岡壱誠著 東洋経済新報社)という本を読みました。
もともと、読書の仕方を学ぶ本が好きで、いくつも読書本を読んでいたのですが、色々なビジネス書を読んでも、書いた内容を忘れてしまうことがほとんどでした。
ですが、この本を読んだことで、
“ただ漫然と本を読むことは罪だ。記憶に残るようにして、行動に移さない限り、折角の読書もただの娯楽になってしまう”
と意識と行動を変えることができました。
そのあとから、私は本を読んでいる間に、気になった個所をページの隅を折るドッグイヤーをしたり、もっと心に響くものがあった際には、ペンで線をひきました。
そして次の日に、その個所をもう一度見て、読書ノートとして要点を書きだし、一番最後に、行動を起こすため、本の帯に付けるような、自分に向けた一言メッセージを書くようにしました。
それを始めてから読んだ本と、それをする前の本では、情報の蓄積具合が全く違っています。これを始めてからは、もう本は手元になくてもいいかもと思えるくらいになりました。また必要になったら、タイトルも内容もわかるから、図書館で借りてきたり、また買えばいいやという思いになりました。
明らかに、本1冊1冊に対する自分の思い入れが変わってきたのです。読書ノートを書かずに読んできた本は、折角内容が素晴らしくても、大体のイメージでしか覚えられていません。ですが、今日紹介する本は、どれも素晴らしい本だったので、また自分が必要になったときにもう一度熟読し、改めて紹介したいと思っています。
保坂和志さんの『書きあぐねている人のための小説入門』(中公文庫)は、この冬、私が初めて読んだ小説の書き方の本です。
どうやってサラリーマンから小説家になったか、小説家になってどんな生活をしているのか、小説家の生き方に初めて触れた本です。
漠然としたイメージは、小説家になるって大変だ、使命感を持って書き続けることはできるのだろうかといった感じでした。とても優しくて温かくて、私も書いてみたい、小説家の世界に飛び込んでみたい、できるかもしれないという思いも抱かせてくれましたが、まだ私にはそのタイミングでなかったようです。
孤高で至高の世界を目指すのが小説家なのだ、という覚悟を教えてくれた本でした。
次に読んだのが、高橋源一郎さんの『デビュー作を書くための超「小説」教室』(河出書房新社)です。
こちらは、新人賞の選考委員を数多く務めてきた著者が、その選考にあたって作品や応募者をどう見るか、その視点について詳しく書かれた本です。
小説家になりたいと思っていても、私は、どんな新人賞があって、どんな選考を経て小説家としてデビューするかということを知らなかったので、小説家の歩む道を垣間見れ、とても参考になりました。
同業者を探す目線で、とても温かい目で選考されていることがわかり、新人賞に応募することは、そんなに怖いことではないと少し安心しました。でも、応募するからには本気の作品を書く必要があるし、覚悟も必要だということがわかり、まだ書く勇気が出ない自分がいました。
そして、小説の書き方本ではありませんが、田中泰延さんの『読みたいことを、書けばいい』(ダイヤモンド社)を読んで、更に書きたい熱が上昇しました。
この本に書かれていることは、タイトルの通りなのですが、ブログなど書いたものをネットにアップしても、誰も読んでくれないよ、と断言してくれていることが、逆にとてもスッキリしました。
誰も読んでくれないのに何のために書くのかと問い、自分が楽しめればそれだけで幸せなのではないか、ということを言い切っていました。
もし、誰か読んでくれる人がいて、共感して心動かされる人が1人でもいたら万々歳。自分が書いて喜んでいるだけで幸せなんだ、それでいいのだということを教えてくれた1冊でした。
これを読んで、ブログや小説を書き始めようと考えるハードルが、かなり下がったように思います。自分のためだけに書いていいんだ、と安心したのです。
最後に読んだ、大沢在昌さんの『小説講座 売れる作家の全技術』(角川文庫)を読んだ際には、具体的に書き始めようと思っている時期ではなかったこともあって、具体的な技術の内容を読みませんでした。ですが、パラパラめくって読んでよかったと思ったのは、小説家としてデビューしたらもう後はないということが分かったことです。
一度デビューしたら、もう書き続けるしかないのです。若くしてデビューしたら、死ぬまでずっと書き続けなければならない、焦ってデビューしなくてもいいのでは、ということが書かれてあり、確かにそうかもとズシリと心に響きました。
焦ってそんなに力がつく前にデビューして、苦労して書き続けるよりも、今の仕事と並行しながら気楽に書き始めて、新人賞に応募するのは定年少し前でもいいのかもという、新しい考えを私に与えてくれました。
このように、複数の作家さんの考えに触れ、私は、今後の自分の歩き方を次のようにしようと考えました。
- まずは、この3か月以内に自分の初小説を1冊は書き上げる。
- 好きな作品、作家を見つけ、作品を書き写してみる。
- 仕事をしながら、時間を見つけて趣味で小説を書き続ける。
- ある程度作品が溜まって、一般に公開する自信がついてきたら、ネット上に投稿する。
- ネット上に投稿した際の反応を確認して、状況によって、新人賞に応募したり、原稿持ち込みができる作品を原稿応募したりしてみる。
- とにかく色々書きたいだけ書いて、死ぬまでに書きたいものは書ききったと思えるようにする。
そして、これまで読んだ参考書で共通して述べていたことを参考に、第1作目の具体的な方向性は次のようにしようと考えました。
具体的なイメージができてきたので、あとは小説の内容を考える作業をするだけになりました。ここまで来るのに時間がかかりました。ですが、自分が歩んでいくイメージを持てるようになると、安心感が出て、俄然前に進みやすくなりますね。
このイメージを大切にしながら、目の前のやりたいことをコツコツやって、大きな自然な流れに乗って、書く人生を楽しもうと思いました。
実際に書き始めてから、思ったことや、もう一度参考書を読んでみて、新たに気づきいとことなど、その都度、またお話していけたらなと考えています。